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「あの……」
「なんだ?」
「お名前お伺いしてもよろしいでしょうか…?」
狼は恐る恐る男を聞いてみた。
「あぁ。名乗ってなかったな。俺様は魁士(かいと)。鮫島魁士だ。これから、お前の世話役だ。覚えておけ!」
歯を見せ、狼に指を指して笑った。
「よ……よろしくお願いいたします。あの……さっきの人?ってなんで、他の人には見えてないというか……。」
「それはねぇ……」
気配を出さず、狼の背後から肩に腕を回し男が近寄ってきた。
「うっ……うわぁ!!?!」と狼は近づいてきた男にビックリし、尻もちをついた。
「どうした!!?オオカミ!」
魁士が振り向くと、そこにはニコニコ笑いながら男は魁士に手を振っていた。
「おっ、お前!持ち場違うはずだろうが!」
「早く終わったから、沙奈さんに魁士くん達と合流しろって言われたんだぁ…」
そして、男は狼に近づきしゃがみこんだ。
「驚かせてごめんねぇ。僕の名前は霧島叶(きりしまかなと)。これからよろしくねぇ」
独特な雰囲気を醸しながらも、狼は大丈夫だと雰囲気で察し、狼は驚きながらもペコりと頭を下げた。
「よっ……よろしくお願いいたします……!」
「そうだ。狼くん。これ、沙奈さんから預かったんだぁー」と叶が狼に銃を手渡した。
「これ、さっき魁士さんが使ってた銃と似てる気が……」
狼は手の平で銃を眺めていた。
「そうそう!それはね、悪い幽霊さん達を退治する銃だよぉ。」
「悪い幽霊さん?」と狼は首を傾げた。
「簡単に言えば幽霊退治だ。まぁ、ただの幽霊じゃねぇ奴らがうじゃうじゃしてる。人間に化ける奴だって居るから厄介だ」
「さっき、魁士くんが倒してたのも悪い幽霊さん。そして、狼くんが言ってた周りの人が気づかないのはこの銃を握ると自然とフィールドが張られて外部からはなにも見えないんだぁ。」
叶がそう言うと拳銃を握った。
「それに!人間には害はねぇ!こうやって……」
魁士が叶を目掛けて、銃を打ったがさっきの幽霊が倒れたようにはならず、無傷だった。
「魁士くんみたいに無駄うちはしないようにねぇ。」
「おいっ!」
「この銃は特殊でねぇ、その人によって形は変わるんだぁ。例えば僕は……」
叶が銃を取り出し、トリガーを引くと拳銃が真っ白に染まった。
「僕の銃の能力は、普通の銃と似てるけど何発も放てるのと、お化けさんを砂みたいに溶かすことが出来るくらいかなぁ」
ニコッと叶と狼に微笑んだ。
(この人サラッと恐ろしいことを言った気が……)
「そして、俺様の銃はさっきも見せた通り1発で敵を仕留められる。そして、この手帳でお化け共を吸い込めんだ!他の連中も色々性格によっちゃあ、違う能力がある!まぁ、俺様の銃が1番だけどな!」
魁士は腰に手を当てて自慢げに話をしていた。
叶がしっ。と口元に手を当てた。すると、4体程のお化け達にいつの間にか囲まれていた。
「成仏。成仏。」と叶がブツブツと言いながら、4体に銃弾を打ち付けた。
すると、砂のように溶け、その砂を瓶に詰め始めた。
「はぁー。これで今日の任務は完了かなぁ」
「おい!叶!俺様の仕事とってんじゃねぇー」
魁士が声を荒らげ、叶に近づいた。
すると、一瞬で魁士の所に移動し、ナイフを魁士の首元に近づけ、ニコッと笑った。
「資料にするんだから、それ以上近寄ったら」と表情を変え、目を座らせた。
「……殺すよ」と低い声になり、殺気だっていた。
「わっ、わりぃ……」と魁士が額から汗を垂らした。
その光景を見ていた狼は鳥肌を立ていた。
「叶……さん?」と怯えながら、話かけると、なぁに?とさっきの穏やかな表情に戻った。
叶は、砂を回収し終わると、銃をポケットへと閉まった。
シールドはとけ、狼に笑いかけ”帰ろう。”と言って前を歩き始めた。
そして、3人はそのまま事務所へ戻っていった。
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