5人が本棚に入れています
本棚に追加
ざあざあ、ざあざあ。
ざあざあ、ざあざあ。
ざあざあ、ざあざあ。
ざあざあ、ざあざあ。
『ていうかさっきからあたしが一方的に喋っちゃってんね、ごめんごめん。つか、汐音。話聞いてるー?』
ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ、ざあざあ――。
「……ねえ、深雪」
私は雨音に紛れそうになる彼女の声を、必死で聞き取ろうとしながら。どうにか震える手で受話器を握り、声を絞り出したのだった。
この悪寒は、なんだろう。雨音が聞こえるだけなのに。彼女は携帯が水没した以外の不幸を自分に語ってはいないのに。一年間、それ以外におかしなことは起きていないのに。
「深雪からの電話、ずっと変なの。雨音が煩くて、深雪の声も掻き消されそうで……深雪がそのアパートに引っ越してからなの!ねえ、そのアパート、どこ?安いからって変な事故物件とかに住んでないよね!?」
勇気を出して私が叫んだ、次の瞬間。
雨音が、一瞬やんだ。そして。
『東京都練馬区●●町×丁目。カドクラハイツ402』
それは、確かに深雪の声であるはずだった。それでもさっきまでのテンションの高さが打って変わって、妙に冷淡な声で。
住所だけを言って、電話は唐突に切れたのである。
「……深雪?」
ぞわり、と背筋が泡立ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!