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ざわめきだつ心
安藤先生が慌てて残った生徒の数を数えた。
「12人……岩瀬のほかに、7人も居なくなってる!」
「今のスイッチ一つで、みんな落ちたってこと!?」
作本がヘナヘナとその場に崩れ落ちる。
「いやだぁ、怖いぃぃぃ」
そのまま突っ伏して泣き出した作本に、誰も声をかける余裕はなかった。
誰も動かないまま、かなりの時間が流れた。
『このままじっとしていれば、外に出ていったみんなが助けを呼んできてくれる』
そんなお気楽主義な理論でも、信じている間は心臓の音も穏やかだった。
「なぁ、いつまでこうしてなきゃいけないんだろうな?」
戸塚の声に再び胸がざわめき出す。
「ここに来て髄分経つよな。でも俺、腹は空かねぇし、水分取ってないのに喉も乾かねぇ。トイレにも行きたくならねぇし、眠たくもならねぇ」
戸塚の言い分を聞いているうちにまた俺の心臓はドキドキと騒ぎ出す。
「一体何が言いたいんだよ?」
僕は戸塚を睨みつけながらそう言った。
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