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「す、凄い...!」
妹が放心状態で呟く。確かに凄いな、と心の中で妹に同意する。私たちが何をしても効かない、無駄だ、という結論を出して逃げたはずの焔に立ち向かい、尚且つその焔に攻撃を当てるなんて___。
「あの子、こちらに飛んで来ます。...気絶しているのでしょうか?」
少女は剣を振るった衝撃で、此方に飛ばされて来ているところだった。私は少女が落ちてくるであろう位置に立ち、落ちてきた少女を抱きかかえる。...いわゆる、お姫様抱っこというやつだ。咄嗟に一番受け止めやすく、少女に負担のかからない体勢にしたらこうなってしまったのだが...なるほど、これは、いささか恥ずかしいな。
「お兄様。ナイス、お姫様抱っこです」
妹が、グッと親指を立てながら言う。
(妹よ、恥ずかしいからあまり言わないでくれ)
しかも彼女には茶化す意図などなく、天然でこれを言うのだから本当にたちが悪い。
「...はは、ありがとう」
私は乾いた笑みを顔に貼り付けながら言う。妹はそんな私を見て、不思議そうな顔をしたが、それについて言及してくることはなかった。
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