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「...ラウちゃん」
カリンは彼の名前を呼びながら、その袖を少しだけ引っ張る。それに気づいたラウが、キクナを睨んでいた目を此方に、ゆっくりと自身の心を落ち着かせるように向けようとする。
(これで、ラウちゃんだけでも冷静になってくださるといいのですが__)
「あぁ、私わかりましたわ。前々から、おかしいと思っていたのです。あなたたち、私を陥れようとしているのですよね」
だがキクナが放った言葉に、貴族たちの間でざわりと波紋が広がった。
「陥れるだと...」
「一体、どういうことだ」
「次期国主様は、何をお考えなのだ」
「王妃様が仰っていることは本当なのか?」
貴族たちが話すのを、さも愉快だというように見つめるキクナ。それを見て、カリンは一つの仮説を導き出す。
(王妃様は、式典を台無しにされたいのでしょうね。きっと、私が主役であるということが気に食わないのでしょう)
...私のことを憎んでいらっしゃるのですから、とキクナの行動を結論付けた。
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