第六章 「カリンの仕事」

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「”白”...っ!?文献でその名を目にしたことはあったが、まさか現物を拝める日が来るとは...」 「わぁ〜、すごいすごい!お兄様、私にも見せてください」  手渡された花を持ち、楽しそうに笑みを溢すウル。彼女の笑顔に段々と室内の雰囲気が和らいでいくのを感じた。最初から、神たちの狙いはこれだったのだろう。 「それで、麗人さんには何か質問があったんじゃなあい?」 彼らの様子を頃合いと見たのか、ウォルカが話に割り込んだ。 「_...では、水ノ神よ。あなたはカリンと契約されているのでしょうか?」 エルの視線が一瞬だけ此方を向いた。ウォルカは少しだけ考えるような仕草をした後、ポンと手をうって言った。 「契約、なんてそんな生易しい言葉じゃダメよ。私とカリンの間には切っても切れない絆があるんだからあ」 「キズナ...なんて、とっても素敵だわ。カリンはウォルカ様に愛されているのね」 手に持った花をクルクルと回転させながら、カリンへ笑顔を向けるウル。彼女の笑みに何処か違和感を覚えつつも、カリンは静かに頷いた。 「......ええ。とても有り難い限りです」 「でしょ!この私に愛されているんだから、もっと胸を張ればいいのに」 「ですが、それができないところが何よりカリン様らしい」 ラウがそう言って、生き生きとした表情で尻尾を振る。そんな彼の姿に、ウォルカとグロッタの視線がカリンの傍らで控える二人へ向く。
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