シャープペンシル

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 そうして私たちは再び「鉛筆組」に復帰した。  「鉛筆組」に戻ってからは、私から鉛筆削りを貸してあげることもあったけど、浅野くんのほうから頼んでくることも増えた。リーダー格の子に言われたことを無視したからカーストから脱落したと思ったけど、やっぱりかわいそうだから貸してあげるとか言ったら「ハルってやっぱりお人よしなんだね」なんて言われて、それだけだった。私も自分の芯を通して、少しだけ鉛筆になれた気がした。お人よしキャラを利用しているから、半分はシャープペンシルだけど。  私は変わらず彼を利用していて、そこには罪悪感もあるけど、浅野くんのほうから頼んでくるときにはそれはない。コーラとオレンジジュースが一緒に味わえるようになった。それはあまりにも甘美で甘酸っぱくて、味わったことのない心地よさだった。  「鉛筆組」に戻った浅野くんは優しい鉛筆の姿に戻っていて、前よりもずっと魅力的だった。少しだけ鉛筆になった私は、浅野くんのことを好きだとはっきりと思った。けれど、半分シャープペンシルの私は、この気持ちを誰かに言おうとは思えなかった。  好きってはっきり言える日に、私はシャープペンシルから鉛筆になるのだろう。  そのとき私は、自分の気持ちを、自分の鉛筆で文字に変えようと思う。付箋じゃなくてちゃんと自分で選んだ便箋に、私という鉛筆で、好きって気持ちをしっかりと焼き付けたい。浅野くんは、それも大事にしてくれるだろうか。してくれればいいなと思う。そのためには、まずは私が鉛筆になるところから。  きっと遠くないうちに、私は鉛筆になりたい。
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