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僕たちは部屋に戻って来た。
僕たちだけの城だ。
温かいカフェオレを淹れてやると奏斗がフーフーしながらそれを飲む。
その様子が可愛くって、奏斗を離してやりたくなくなる。
男同士なんて人の道に反してるとしても。
僕は奏斗が好きなんだ。
どうしようもなく。
「奏斗」
そう呼ぶと奏斗が視線を寄越す。
奏斗は口数が少ない。
「ここを出ようか」
「えっ…」
「だって男同士は人の道に反するんだろ?」
僕はいじわるな訊き方をする。
でもこのくらいいじわるだっていいはずだ。
奏斗が何も言ってくれないんだから。
「でも…」
奏斗が何か言いたそうに口ごもる。
「でも?」
僕は奏斗を追い詰めるように尋ねる。
すると奏斗の瞳から涙がこぼれた。
「なんで泣くの?嫌がったのは奏斗だろ?」
僕の声はどこまでも冷たい。
奏斗は静かに涙を流している。
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