82人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「奏斗、やっぱりここを出よう」
僕は再び奏斗にそう提案した。
男同士でこんな関係にあることが奏斗を苦しめているのなら、解放してやりたい。
そう思ったからだ。
勿論、奏斗を手離したくなんかない。
だけど仕方ないじゃないか。
奏斗が嫌がるんだから。
「誠二…」
「何?」
「俺…」
そう言って奏斗が部屋を飛び出した。
「奏斗!」
玄関を出ると仕事帰りの大久保さんと八合う。
手にはビニール袋が握られている。中身は多分ビールの缶だろうか。
「こんばんは」
「こんばんは」
「あの、奏斗見ませんでしたか?」
「茶髪の子?あっちの方に走って行ったけど…」
「すみません、ありがとうございます」
あっちの方は間違いなく公園だ。
奏斗は何かあるといつもあの公園に行く。
公園まで走って行くと、やっぱり奏斗がブランコに揺られていた。
最初のコメントを投稿しよう!