宇都宮黒猫団

コル・パルタ

　吉原発アイドルグループＹＷ２４のメンバーは十四歳から二十四歳までの女子二十四名である。

　三か月に一度行われる人気投票により、上位一位から三位は “花魁”、四位から十二位は“芸者”、それより下位は“女郎さん”と呼ばれ区別される。

　このように階層分けをすることによりメンバー同士の競争心を煽る。
　彼女たちの闘志を見たファンが、好きなメンバーが少しでも上位に行くよう、ＤＶＤを買うと付いてくる投票券を目当てに大量買いを行ったり、インターネットでメンバーの良さを盛んにアピールする書き込みを行ったりする甲斐あってか、評判はデビュー以来じわじわと高まっていった。

　メンバーを公募した時、応募してきたのはなぜか外国籍の女子ばかりだった。現在、トップクラスである“花魁”三名は、ブラジル、韓国、オーストラリア出身である。

　日本人は、“女郎さん”に属する二名だけ。彼女たちは事務所所属のタレントで、ＹＷ２４の頭数をそろえるために出向している。本人たちは心からこのグループでトップに立つという野心を持ってはいない。

「芸者を模したアイドルグループなのにどうして大和撫子がほとんどいない、いても最下位クラスなんでしょうね」

　あるバラエティ番組で司会者が溜息をついた。するとゲストの一人である評論家がフン、と鼻で笑うと、

「大和撫子は、芸者になどなるものではありませんよ」
　と言った。
　主婦に人気のある、人情味あふれた初老の男性司会者と、政治経済文化に詳しく著書多数の女性評論家は一瞬、睨み合った。

　ＹＷ２４の持ち味は、華やかなセクシーさである。着物を着崩したコスチュームと、ふともも、腰、ウエスト、手首足首首筋等、体の曲線を強調したダンスで画面にグイグイ迫り、女子中高校生のコスプレをしたアイドルたちの、手足をばたばた動かす踊りとは一線を画している。

　僕は初めてＹＷ２４の踊りをテレビで見たとき、リビングの真ん中で鼻血を出して倒れた。