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仕込み
「何をするんだ!」
「あなたは、ぬか漬けになるのよ!」
「うおおぉ~。なんだこれは…。吸い込まれるーっ!」
街の中で男と女が言い争っていた。2人の中間の位置には、どこにでもあるような茶色い陶器製の壺が置いてある。壺の蓋は開いていて、中にはぬかが詰められている。
男は見えない力で壺のほうに引っ張られている。その力に逆らうため、地面に這いつくばり、踏ん張っていた。女はそんな男の姿を見下してじっと見ている。ゴゴゴゴォォォー!
しばらくすると、突然均衡が破れる。男がヒュ~っと壺に吸い込まれていく。
「俺はキュウリじゃないぞー。でも、グニャっとして、ぬかって気持ち良いな。美容にも良かったりして。おっと、そんなこと言っている場合じゃなかった…。おぉぉ…ぉ…ぉ…」
男が壺の中のぬかに漬かると、女はパコっと壺の蓋を閉めた。壺には何やら模様が書かれた紙が貼られた。
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