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なるべく明るく言ってみたが、茜の反応は暗い。ここまで嫌うには理由がある。茜の高校時代、親友が毎週のように通っていた占い師がいた。のめり込み過ぎる親友を心配して一緒に行くと、占い師が親友に身近な人にこそ気をつけなさいと、暗に茜の事だと仄めかしたらしい。それ以来、親友との仲が壊れてしまった。高校卒業後に連絡は途絶えてしまったが、最近その親友からハガキが届いた。結婚の報告だったと喜んでいたのだが、その数年後に離婚したと同窓会で別の友人から聞かされたらしい。占い師に傾倒するあまり、夫に見限られた等と口さがなく言う者もいて、聞いていて複雑だったと言っていた。その為にこの手の話題はタブーになってしまった。
「別に、占いが嫌いなわけじゃないんだけど……」
「えっ?」
「たまたま出会った占い師が悪質だっただけでさ。それを上手く伝えられなかったせいで……私、ただ、占い師の言葉に一喜一憂する友達を見たくなかったんだよね」
「うん」
「あの子、どうしてるのかなあ」
あまりいい噂を聞かないらしい。夫としては、折角切れた悪縁を繋ぐことはしたくない。
「また茜が傷つくのは嫌だな」
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