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テストは苦手。
答案用紙を前にすると頭が真っ白になる。
定期考査では赤点すれすれの教科も少なくはない。
教師たちは日頃の授業態度とテスト結果のギャップに首をかしげる。
授業内容はきちんと理解している。
でもテストではなぜか実力を発揮できない。
「僕の頭脳を貸してあげようか」
そこにいたのはテストではいつも学年首位のクラスメート。
いったいこの人は何を言っているのだろう。
「放課後、僕に付いて来て」
有無を言わせず、放課後の約束をさせられる。
訳のわからぬまま、放課後彼に付いて行く。
狭い路地裏、ひっそりと佇む建物の中に入っていく。
ここはいったい何?
「君の知識を僕にちょうだい。その代わり、僕の頭脳を君に貸してあげる」
何を言っているのだろう?
「何も怖くはないよ。ただ僕に君の体を預けてくれればいい」
知らぬ間に意識を手放していたようだ。
「これで次のテストは大丈夫」
彼から解放はされたが何をされたのかはわからない。
もやもやした気持ちを抱えながらテストに挑む。
彼には及ばなかったが、それでも今までとは違う。
結果がきちんと出せた。
「どうだった?僕の頭脳。君の知識を僕にくれるのなら、これからも僕の頭脳を貸してあげるよ」
なんとなく、もう後戻りできないような気がして、彼の言葉に頷いた。
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