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「さて、作戦会議といこうか。」
嫌の目の前の机には、天麩羅と鰊と刺身が並んでいる。
嫌が確かめる。
「まずは状況確認だ。そばを作って食べれば、この世界から脱出できると思われるが、そのそばの材料を手に入れるのが極めて困難だというわけだ。できることと言えば、ごく少量のそばの種を手に入れられるということだけ。それではそばを作るには全然足りない。そこで、なんとかそれを育てて、大量の実を栽培するということだが・・・・・・それも現実的ではない。これで、合ってるね?」
天麩羅と鰊と刺身は、よく混ぜ合わせた。
「その通りじゃ。」
「それができたら、来世に行けるのになあ~☆」
「俺達に与えられた試練は、無理ゲーに等しい。」
嫌はため息をついた。
ビニールハウス栽培なども考えたが、たった四人で何ができる?
結局は、人数が集まるまで、待つしかないのだ。
(そうか、だからこの三人は、僕が来るまで何もせず、気堕落な生活を送っていたのか。)
しかし、新たに人が来るまで、どれだけ待ったなければならないか分からない。それよりも、嫌達の寿命が尽き る方が早そうだ。
特に天麩羅なんかは、いつ酸化してもおかしくないのである。
「あたしゃの友達に、96歳の医者がいるのだが、どんな病気になっても治し てくれる彼でも、寿命をなくすことはできまい。」
とにかく、ただ家にとじこもっているいるだけでは、何も状況は変わらない。生ある限り、何か行動を起こさなければならないのだ。
そう思い、嫌達は計画を立てた。
・まず、なんとかしてできるだけのそばの種を入手する。
・それを、なんとか品種改良などを駆使して、夜に栽培できるようにする。
・なんとかそばを作る。
「まったく解決策になっていないが、そうは言っても我々にはこれ以上なんともできまい。願わくば、知恵のある 者がこの世界に来てくれることじゃが・・・・・・こればかりはどうしようもないさね。」
天麩羅の油を切ったら、しばらく放置したあと、嫌に尻尾を向けた。
「嫌・・・・・・この絶望的な状況じゃが、諦めるでないぞ。死力を尽くしてあがけば、活路が見出せるかもしれん。 いつか、必ず、共に来世へ行こう。」
嫌がくるまで散々諦めていた具材が、何を言う。
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