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あまりに深くまで突き刺さるその昂りに、僕の意識は飛びそうになる。だけどその前に間近に見えたアルファの顔に、僕の意識は一瞬で戻される。
「お前、アルファだったのか!」
はっきり見えたその顔に、僕は考えるよりも早くそう叫んでいた。
だってその顔は、あの中学の時の初恋の相手だったからだ。
こうやって間近で見ないと分からないほどそいつはあの頃とは変わりすぎていたけれど、その顔には面影があった。
「お前だってオメガだったろ」
そう言って僕とおでこをくっつけたそいつは、さらにぐいっと腰を落とす。
「あっ・・・ゃ・・・深い・・・」
あいつが僕の中にいる。
どうして?
その事が上手く理解できなくて僕の頭は混乱しているというのに、そんなことお構い無しに僕と身体を密着させたそいつがぐちゅぐちゅとその場で腰を動かす。その奥深くを小さく何度も突かれる快感と、僕の昂りがお互いの腹の間で擦られる快感がぐちゃぐちゃになって僕を飲み込み、僕はあっという間に果ててしまう。と同時にお腹の奥にもじわっと温かいものが広がった。
あまりに早い極まりに僕の息は切れ、意識がぼやける。そんな僕に覆い被さりながら、そいつも僕を抱きしめてやはり荒い息を繰り返している。
「な、なんで・・・お前が・・・」
あまりに多くの情報が入ってきすぎて、頭の中が渋滞を起こしている。
初めて僕に告白してくれた人と初めてデートして、初めて強烈な発情期を迎えて、そして初めてアルファとその発情期を過ごした。
そこまでならまだ理解出来る。
世間でもありがちなことだ。
だけどここからが僕を混乱させる。
だってそのアルファは僕を犯すだけに留まらず、うなじを噛んだのだから。たとえ発情を起こして事故で噛んでしまったとしても、正気に戻ったアルファは事の重大さに気づいて逃げてしまうだろうに、このアルファは逃げるどころかそのまま僕を縛って離さない。しかもそれを全然嫌とも思わない自分に驚くと共に、その相手がなんと中学の時の初恋の相手だったのだ。
なんで?
なんでこいつは僕と番になったの?
中学を卒業して五年。
その間全く連絡を取っていない。だからどこで何をしているのかも分からない、言うなれば思い出の中の人だったはずなのに、なんの前触れもなく僕の前に現れたのだ。それも他のアルファとのデート中に。
しかも突然の発情に意識を飛ばしている間に番にされ、当たり前のように僕を抱きしめ、僕の中に挿入ってくる。
いまもまだ僕の中にいるあいつの熱を感じる。その熱と中に出された精、そして身体を覆う温かい体温と香り・・・あいつが僕に与えてくれる全てに、僕の心は喜びを感じて幸せに満ち溢れている。
それがあまりにも幸せすぎて、もうどうでもいい様な気になりそうになるけど・・・。
「これはどういうことだよ?」
知りたい。
なんでいま、僕達はこうなったのか。
「さっき言ったまんまだよ」
僕の問いにあいつはそう言うけど、僕にはまだ分からない。僕とこうなった理由なんて言ってたっけ?
「ベータだと思って諦めたお前がオメガだったからオレのものにした」
僕の疑問が顔に出ていたのかそいつがもう一度そう教えてくれたけど、それはこうなった理由になってない。
「諦めたって何をだよ?」
僕がベータだったら何を諦めたって言うんだ?
「恋人にすること」
「・・・恋人?」
さらっと返された言葉が一瞬理解できなくて思わずオウム返ししてしまったけど・・・。
恋人にすることを諦めたって、恋人にしたいと思うのは好きな人であって、それが僕ということは、僕はこいつの好きな人・・・?
「はぁ?あの時・・・男同士はキモいって言ったよなっ?」
忘れもしない中一の映画館で、こいつはそう言ったんだ。その言葉は僕に矢のように突き刺さり、トラウマとなった。
「あの時はオレもお前もベータだと思ってたから、それはダメなことだって思ったんだ」
「だからって、キモいって・・・」
お前がキモイなんて言わなかったら、僕はこんなに苦しまなくて済んだはずだ。
その思いが自然と流れてしまったのか、そいつはしゅんとなる。
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