少年の水晶の柩

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もう僕には何も無いから 人は一人で生まれて1人で死ぬんだって いつか君がそう云っていたね もう愛を取り戻す事もできない ずっとずっと触れたかった 君の深い闇の底まで あの日に僕が愛した君は本当に死んでしまった 僕は無力で愚かで何も出来ず もうこれ以上 君の側にも視界にさえ侵入できないから 君と笑い合った綺麗な思い出を 叶わなかった想いも全て 水晶の匣に入れて 綺麗な泉に沈めるんだ 人の心を喪う程に傷ついた君の魂 僕では最早癒す事も出来ないから でも僕が君を想う度に取り乱して錯乱して泣いたら 君はこう云ってくれたの覚えてるかな? 「俺の代わりに泣いてくれてありがとう」 僕はもっと哀しくなってもっと泣いて いつも君を困らせていたね 少年の時間はもう終わってしまったんだ 声も枯れて お互いに疲れ果てて 君が生まれ変わったのなら 僕も変わらないといけない 儚い命 儚い恋 儚い少年の時間 薄羽蜻蛉みたいな 今日も何処かで君が笑顔でいますように
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