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「だいたい、私と結婚してなくたって、あなた仕事はしてたわよね? 独り暮らしだったんだから、洗濯も掃除も全部自分でしてたんでしょう? だったら、ごみ捨てくらいはできるでしょうよ」
「ごみ捨てくらいできるよ。俺だって気付けばやる。でもそっちが先に気づくだろ? 気付く余裕があるからやるんだろ? だったらそれでいいだろ。てかそもそも、そんなことで不機嫌になるなよいつもいつも」
「そんなことってなによ。生活していくのに必要なことでしょ?」
夫の直哉さんは、ここでひとつ、わざとらしくため息をついた。
「そりゃそうだけど……たかだかごみ捨てくらいで……。人が聞いてんのに、恥ずかしい」
直哉さんは、ボクの方をチラと見てそう言った。
「たか……だか……? あは。あはは」
「なんだよ。何笑ってる?」
「いや、なんか、アホらしくなっちゃって」
突然諦めたように笑いだした真希さんに、直哉さんが困惑の色を浮かべた。
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