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02 罰ゲーム
「サトシ久しぶりだね。やっと来てくれた。クールな男性とキュートな女性じゃないか。ようやく恋人を連れてきてくれたね。早く紹介してくれよ」
写真に写っていたオーナーは侍の格好をしていた。横には花魁風のグラマラスな女性二人を携えていた。今年は和風の仮装の様だ。しかし目元はベネチアンマスクだった。他人に顔を見られないようにする為なのだとか。
「スティーブン招待してくれてありがとう。改めて紹介するよ。ユージとスズネさ」
会話は英語だった。オーナーはスティーブンという名前で私達より一廻り上の白人男性だった。
「ハイ、ユージ。ん? ユージってもしかして、サーフィンで活躍していなかったかい?」
「ハイ、スティーブン。そうだけどよく知ってるね。もう何年も前の事なのに」
「もちろんさ! だって僕は君のファンだったもの。何て偶然なんだ!」
スティーブンは信じられないと首を振って天野の背中をバシバシ叩く。天野はかつてプロサーファーを目指していた事があったのだ。それから岡本に振り返りニッコリと笑った。
「ユージだったとは。素晴らしい恋人じゃないか」
「正しくはユージと共通の恋人がいるんだ。僕とユージは直接体の関係はないよ」
岡本が笑いながら天野のお尻をキュッと摘まんだ。
「ははは。俺だってサトシと直接体の関係なんてないさ」
どういう仕組みか分からないが天野の耳と尻尾がピンと立っていた。天野も同じ様に岡本のお尻をつねっていた。
「照れなくていいのに。まぁいいさ。ハイ、スズネ。君がサトシとユージの恋人だね。会えて嬉しいよ」
「スティーブン素敵なパーティーに招待してくれてありがとう。それに衣装も素敵でとても感激しているの」
握手をするとスティーブンは私の腕を取って高く上げ、その場でダンスのターンの様にクルリとと回した。
「わっ」
私は驚いて一回転すると、左右に控えていた岡本と天野に抱き留められる。
「とても似合っているハロウィンにはぴったりだね。魅力的で見つめていると心を奪われそうだ。一度も恋人を作らなかった、サトシが虜になるはずだ」
そう言うとスティーブンはベネチアンマスクの向こうの青い瞳でウインクした。
「積もる話もあるけれども今晩は折角のハロウィンパーティーだ。悪戯されない様に甘いお菓子を渡して楽しんでね」
スティーブンは次の招待客が待つ席に移動していった。
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