01 ハロウィンなのにこんな事に

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 下着メーカーに勤めているけれども今は機能的な下着が売れ筋だ。セクシーな下着の部門もあるが、自分が関係する企画は機能的な下着が多いので久しぶりのご対面と言える。  私は髪の毛の毛先を大きくカールしてもらった。そして頭の上には小さな角が生えている。カチューシャで止めるタイプなのだが、本当に生えている様だった。 「スイートデビルか。ふふ、確かにこの角は可愛いわね」  私はこの小さな角を気に入ってしまった。だけれど問題はこのドレスかな。  ホルターネックのドレスは紫ベースの色をしていたがシルバーのラメが入っていて歩く度にキラキラと反射する。しかも体のラインにピッタリとフィットしてくるぶしまでの長さがある。  私は姿見の前で一歩足を出して思わず呟いてしまう。 「こんなドレス初めてだから歩くだけでも気を遣うわ」  タイトに作られたドレスは太股の上までスリットが大きく入っている。だから大きく一歩踏み出せば右足は晒される。  どちらかと言えば早歩きをするタイプなので、大きく一歩を踏み出してしまうので気をつけなくては。更にクルリ半回転して背中を姿見に映す。  胸の下で切り返しがあるドレスで、胸元部分は黒の総レースだった。背中は腰の少し上まで全開だ。丸見えの肩甲骨には黒いコウモリの様な羽が広がっていた。小さなもので、後ろから見ないと分からないぐらいの大きさだった。ピタリと肌に吸着しているので動いても取れない。そして腰の下部分には矢印の形をした尻尾が上を向いていた。 「尻尾と羽は可愛いわね。凄いわ良く出来てる」  どうやって作るのか全く分からないが用意された小物の精密さに私は感動していた。  最後に、赤い瞳になるコンタクトレンズをつけて、紫色のラインストーンをちりばめたベネチアンマスクをつける。そして唇には赤いルージュを引く。いつもならセクシー路線なのだけれども、小さな角と小さめの羽が可愛くしてくれる。  嬉しい! いつも迫力のある女性になりがちだけれど、今日は甘くて可愛い感じに仕上がっている。  全ての準備を終えると、夕方前の時間になっていた。  スパ・リラクゼーションを堪能して、部屋を出ると小さな待合室に長身の男性が二人窓際に立っていた。  大きな格子状の窓から闇に近い色の夕焼けを浴びて振り向いた二人に私は思わず息を飲んだ。
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