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それは凄く素敵。私は二人の漫才の様なやり取りを聞き入っていたけれども、最後の言葉に飛び上がりそうになった。
「いいなそれ。泊まりで出かけるのもいいよな。岡本の知人のオーベルジュなら俺達が三人で行っても、秘匿性が高そうだから会社や知り合いにバレる事もなさそうだしな」
天野も明るい顔で笑って岡本の肩をバシッと叩いた。
「もちろんですよ。オーナーにも伝えておくので僕達の事がバレる様な相手は来ませんよ。それに招待されるのは、オーナーの昔からの知人ですからね。ワケありの恋人や夫婦が多いと思いますよ」
岡本が最後ニヤリと笑ってコーヒーと一口飲んだ。
「ワケありの恋人って大丈夫かよ。待てよ? よく考えたら岡本の知人だろ? そっちの方が大丈夫なのか」
天野がブツブツと呟いていた。私も同じ事を感じていた。
岡本ってスマートで整った容姿だからつい草食系かと思うけれど、実はAVをがっつり見たり、ストーカー気質があったりする。そんな岡本の知人でしょ? 何となく想像が出来てしまう。
「気にしすぎですよ。知人と僕は大学時代からの仲ですから安心してください。それに衣装も用意してくれるんですよ。ほら、これが去年の知人の姿です」
カラカラと笑いスマホを取り出し一枚の写真を見せてくれた。
写真は一人の男性を真ん中に二人の女性が写っていた。
男性はベネチアンマスクをかけ、金髪の髪を撫でつけて、おでこに二つの赤い角を生やしていた。赤い派手なシャツに真っ黒のスーツを着こなしている。腋の女性はメイド姿だった。女性もグラマラスでベネチアンマスクをかけている。
天野は男性のスーツと腕時計に注目していた。
「へぇこの男がオーナーか。かなりの金持ちだな、これ総額でいくらするんだろう。しかし完成度の高い仮装だなぁ。これ悪魔だろ? なりきって楽しそうだな」
確かに天野の言う通りだ。男性も女性も下品な感じはなくとても自然だ。仮装を純粋に楽しんでいる様に見える。
「食事代や泊まる為の費用はかかりますが、ほとんどオーナが用意してくれるんです。ハロウィンパーティーだから仮装は必要なのですが衣装も用意してくれるんですよ。僕達に合ったものを用意してくれるそうです。後、楽しく過ごせる様に恋人同士でゲームをしたり。もちろん罰ゲームもあったりしてね」
ニッコリと岡本が笑った。
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