01 ハロウィンなのにこんな事に

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「冗談ですよ。倉田さんも()()にどんな罰ゲームをするのか考えておいてくださいね」  この時岡本が「僕達」と言った事を私は聞き逃していた。  天野と岡本は勝つ気満々だったのだ。何故ならゲームの内容がポーカーだと知っていて自信があったのだ。だって岡本も天野も心理戦に強い。  そして二人は結束して用意周到に私への罰ゲームを用意していた。私がその罰ゲームの内容を知るのは後数時間後だった。 「そう言えばさ結局どんな衣装になったんだ?」  天野がハンドルを切りながら呟いた。天野が所有しているSUV車がスムーズにカーブを曲がる。 「リクエスト結局しませんでしたからね。僕達それぞれのイメージに合った仮装を用意してくれるとメールが来ましたけど、当日まで秘密だそうで教えてもらえないんですよね」  岡本がカーブに合わせて体を揺らしながら答えた。 「やっぱりアレじゃね? 岡本は赤いボーダーのシャツとジーパンだろ」 「違いますよ。僕を探すゲームじゃないですからね? 天野さんこそヒーロースーツですよきっと」  天野と岡本が軽口を叩いた。だから私も思わず会話に参加する。 「それなら私は黒い体で白い顔をした──」 「「それは絶対ないから」」  天野と岡本にはっきりと否定されてしまった。  到着すると私達三人は受け付けを済ませて、泊まるコテージに案内された。写真に偽りなしの建物に私は目を輝かせた。 「薪ストーブなんて素敵。それに大きなベッド。うわぁフカフカ。あっこれが露天風呂ね」  部屋の中を次から次へとチェックして奥へ進む。一番奥には行っていた森を望む露天風呂。 「素敵! 誰にも覗かれないし、とても静かだなんて。きっと夜は満天の星よね」  私はクルクルと回りながら興奮する。実は泊まりで出かける旅行と言えるものは、本当に久しぶりなのだ。数か月前、天野と岡本と関係を持った慰安旅行が数年振りだったぐらい。  後ろで荷物を置きながら天野と岡本がはしゃぐ私を優しく見つめていた。 「風呂の周辺ではしゃぐと落ちるぞ」 「本当ですよ。それでもいいですけれどもね」  本当だわ。油断したら足を滑らせて湯船に落ちてしまいそう。私はそそくさと部屋に戻る。するとタイミングよく部屋に備えている電話が鳴った。
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