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五年が経って
君より僕の方が少し大人になりました
五年ごとに メンテナンス会社の方から
君の年齢をアップグレードするかどうかを尋ねる
手紙が届きます
僕はいつも
アップグレードは必要ないと 返事をしました
君の見た目が変わってしまったら
何だか別人になってしまうような気がしたからです
そうやって僕だけがどんどん歳を取り
君はずっと十歳のままです
つやつやだった黒い髪も
ふっくらとしていた頬も
だいぶ劣化して汚れてしまいました
僕がアップグレードを拒み続けたせいで
旧型の君と交換できる部品がなくなってしまったのです
あちこちに不具合が出て 動作も鈍くなり
君には悪いことをしたと思っています
それでも僕は
君のままがいいと思ったのです
君が笑うと 左のほほにえくぼができると
君はきっと知らないでしょう
それは皮膚パーツの歪みのせいで
メンテのたびに 直しましょうかと聞かれました
僕はずっとそれを断り続けていました
君のそのくぼみが とても好きだったから
僕が好きな君の姿を 下手にいじってほしくなかったのです
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