【わたしが雨を降らせましょう】

4/7
前へ
/7ページ
次へ
 二日が過ぎた。  「これはどういうことかね、軍師殿。外は日照りが続き、さらには風も吹かぬ。到底雨の降る気配などないではないか。もう我が軍の兵糧は無いのだ。ううむ。どうやらそなたは命をもって、この失態を償ってもらうことになりそうだな。」  にらみつける将軍に対して軍師は高笑いをする。  「おやおや将軍殿。指揮官たるものは、いつなんどきも、沈着冷静でなければなりません。明日、明日必ず、この地に大雨が降ります。えぇ。それはそれはたいそうな雨が降ることになっております。ことを急いでは、すべてを仕損じますよ。心を穏やかに保つのです。明日の朝、きっと将軍は雨の音を聞くことになるでしょう。」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加