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ぅわっ!
白いウェディングドレスが右側にずらりと並び、左側には色とりどりのカラードレスが並んでいる。
「ぜひ近くでご覧になって気になるものをおっしゃってください」
私は一歩踏み出し、白いドレスを手に取る。
「もし具体的にご希望がお有りでしたら、お手伝いしますのでおっしゃってくださいね」
希望?
私はキョトンと彼女を見つめる。
「こんなイメージっていう写真やイラストを見せていただければ、それに近いものをお出し致しますし、プリンセスライン、マーメイドラインなどシルエットですとか、胸元が開きすぎないとかオフショルダーやワンショルダーなどのイメージをおっしゃっていただければ、お出し致します。1人でこの中からお探しになるのは大変ですから」
確かにこの枚数は見るだけでお腹いっぱい。
前の2件は相手にされなくて放置されてたので、よく分からないまま適当に自分で選んだけど。
でも、ウェディングドレスの希望なんてよく分からない。
「さっき、他のお店ではこんなのを着てみたんですけど……」
私は、スマホを取り出し、今日撮った写真を見せる。
と、その時、カランカランッと入り口のカウベルが鳴った。
別のお客さんかな?
私がそう思うのと同時に、店員さんも動く。
「少々お待ちください。ご自由にご覧になっててくださいね」
そう言うと、店員さんは店へと出て行く。
私はゆっくりと順にドレスを見て回る。
白って言ってもいろんな白があるのね。
いわゆる純白もあれば、オフホワイトだったり、金糸が入ってたり、素材もサテンやチュールやオーガンジーなど様々。
前の店でもそうだったけど、たくさんありすぎて選べない。
だからこそ、結婚する人には一緒に来て「これがいいんじゃないか」とか「似合うよ」とか言って欲しかったのに。
考えても仕方ないことなのに、彼への不満で胸の中がいっぱいになる。
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