1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
私は今、都会のビル群を眺めながら朝を感じている。会社で寝てしまった。だからこその、景色かもしれない。
今日は午後から雨が降ると言っていた。私は、疑問に思う。こんなにも澄み渡り青い空が、雲に遮られ、雨が降ると言うことに。
あの日の、雨の記憶。雨が降っていたからかもしれない。
教室に、雨が降った。
私はどこまでも、雲だった。
自分の本気を認めてくれる人は、案外多い。しかし、恥ずかしがっての自分を認めてくれる人は少ない。
私は、陽に染まるビルを見ながら、
「いい天気っーー」
オフィス内に響く。丁度、会社に来たのか直属の先輩が困った目をして、私と目があった。見てはいけない物を見てしまった、という雰囲気がどことなく漂う。気まずい。
弁明の余地を探し、解明している頃には、シトシトと雲から、雨粒が落ちた。
会社が終わり、家路につく頃には、アスファルトが乾き始めていた。
最初のコメントを投稿しよう!