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“フラワーショップ・レイン“
実家は生花店を営んでいる。傘と雫のマークの入った看板に、ガーベラが笑顔で華を添える。
駅前のお店の入り口は広く屋根が掛かっていて、雨宿りをする人達が集まってきて賑やかになるから、〝雨には感謝〟と言う事で店の名前はレイン。安易だけど、あたしは気に入っている。
「今日はお花よく出るね」
「そうね、でも、悲しい方のお花よ」
「え……あぁ、」
華やかなイメージがある生花は、贈り物やお祝いなどの人を喜ばせるための物だと思っていたけど、別の意味での送り花がある。大切な人や身近な人が亡くなった時に贈るお花。
あたしは、母の手伝いをしながら送り主の名前を見た。
“永田 孝弥“
「あれ、これって……」
「何、知り合い?」
「もしかしたら、高校の同級生かもしれない。誰が亡くなったんだろう」
「詩乃より少し上くらいじゃなかったかしら。昨日の新聞に載ってたじゃない」
「新聞、見てない」
「ほら、そこにあるわよ」
そう言って母は空いていない両手の代わりに、奥のテーブルの上に視線を向ける。あたしはすぐさまそれを手に取って記事を探した。
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