2・キミの行方

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 父に決められたレールの上を今までなんの苦もなく走ってきた。それで良いと思ってきた。  それが、自分が幼い頃から見てきていた尊敬する父の言うことだから、間違いないと。  それなのに、そのレールを壊したい衝動に駆られている。見失ったとしても、もう二度とそのレールに乗れなくても、何処へ向かうのかも分からなくても、もうどうなっても良いと思ってしまう。  思ってしまうだけで、実際、僕は本当に無力だ。父に楯突くことを恐れている。楯突いたところで、僕にはキミを幸せになんてできない。情けなくなる。  俯いた頭、左の手で髪を掻き上げるようにして支えた。目頭が熱くなる。額から目元へと手を下げると、抑えきれなくなった涙腺から、溢れ出す涙にそのまま天を仰いだ。  瞑ったままの目、真っ暗な視界に外の雨音がより強く、激しさを増していくのが聞こえた。  キミを想わない時なんて、一秒だってないんだ。  キミが出て行ってから、もう何日が過ぎたんだろう?  僕はずっと、思っている……キミに会いたい。  僕は、キミに何もしてあげられない。
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