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パタン──と音を発てて閉じた扉を見詰め、僕は徐に首を捻ってしまった。
──益々分からない。顔に怪我をした患者と、僕がどう関係するんだか。僕は医者じゃ無いんだし……
思案を広げたが見当も付かなかった。
暫くすると、奥の部屋から戻った御都部は、大切そうに大判の茶封筒を抱えて戻って来た。
一瞬の事だったが、僕は見逃さ無かった。
奥の部屋で動いた人影を──。
その気配も感じていて、この部屋へ案内された当初から、誰かがじっとこちらの様子を静かに窺っている様な……
最初に御都部が奥の部屋に消えた時、何かを窘めるような声と、それに言い返すような声を聞いた。
それは気のせいかな? とも思ったが……
更には、御都部の乱れたシャツの首元に、幾つもの赤い咬痕を認めると、
『最近の御都部はどうやら若い娘を囲い、随分と入れ揚げているようだ──』と、噂されていた事も思い出し、ああ、そう言う事かと、妙に納得もした。
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