患者の肖像①

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 そんな僕にはお構い無しと、 「で、これが、ここへが、僕を縋って来た当初の写真だ──」  早口に言葉を継いだのだが、先ほど見たが、まさかのと聞き及び、 「──え、男の子なんですか?」  と訊ねたのだが、御都部は意味あり気に鼻を啜り、勿体付ける仕草で『驚かないでおくれよ』などと前置きもしてはテーブルの上へ置かれた。  一瞬、何を見せられたのか、すぐには判らなかった──  数秒後、が人間の顔で有ると分かった処で、不覚にも短い悲鳴を喉から漏らしてしまった。  そんな僕の様子が満足だったようで、 「ああ……脅かすつもりでは無かったんだよ」  などと言いながらも、御都部の頬には薄っすらと笑いが張り付いて見えた。  それは──切り刻まれた人間の顔だった。
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