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そんな僕にはお構い無しと、
「で、これが、ここへ彼が、僕を縋って来た当初の写真だ──」
早口に言葉を継いだのだが、先ほど見た美少女が、まさかの彼と聞き及び、
「──え、男の子なんですか?」
と訊ねたのだが、御都部は意味あり気に鼻を啜り、勿体付ける仕草で『驚かないでおくれよ』などと前置きもしてそれはテーブルの上へ置かれた。
一瞬、何を見せられたのか、すぐには判らなかった──
数秒後、それが人間の顔で有ると分かった処で、不覚にも短い悲鳴を喉から漏らしてしまった。
そんな僕の様子が満足だったようで、
「ああ……脅かすつもりでは無かったんだよ」
などと言いながらも、御都部の頬には薄っすらと笑いが張り付いて見えた。
それは──切り刻まれた人間の顔だった。
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