ついてない僕

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 平面駐車場へ愛車を滑り込ませ、はやる気持ちで足早にエレベータに乗り込むと、同僚で、学生時代はシェアルームでも一緒だった蔵内(くらうち)が先に乗っていた。 『おはよう』と挨拶を向け合うと、 「なんだ──、重役出勤かぁ?」  ニヤニヤ笑いを向けられた。蔵内の視線を辿り、階数表示板脇の鏡で頭部を確認すると、髪の毛に寝癖がバッチリ付いていた。  慌てて髪を撫で付けながら『4』の表示に追い立てられるよう、開いた扉を一歩踏み出すと、 「週末、暇なら付き合えよ。たまには飲みに行こうぜ──」  屈託のない蔵内の声が追いかけて来た。  急ぐ足取りのまま、返事を投げた僕は、 『分子生理学室』へ急いだ。
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