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何という為体か、椅子の背に引っ掛けられた洗濯物らしき衣類。
部屋の壁面大部分を占める、立派な書棚が据えられていると言うのに、床には書物が乱雑に積み重ねられ、キャビネットも半開きの上、郵便物だろうか、棚から溢れ、今にも床に落ちそうな様子で……まるで盗賊にでも押し入られたような荒み様だ。
更には何処からともなく饐た嫌な臭いが忍び寄って来て……容赦なく鼻を衝き、部屋に漂う珈琲の香りと相まって息苦しさを感じさせた。
──とても客を招く場所じゃ無いよな。
腹の中で毒吐いて持て成された珈琲を一口啜ると、その苦さにも何か悪意が潜んででもいるように感じた。
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