飛ぶように駆けてゆけ

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 雨が強くなってきた。部屋の窓を開けると湿った風が入り込む。彼は雨の中でも、今日も走ってる。 —風邪、引かないでね  そういえば、彼とほとんどメールなんてしたこともなかったな。私は携帯の電話帳を開いて彼の名前を探す。 <ゴッちゃん。さっきはホントにごめんなさい。  ちょっと余裕なくて。変な事言ってたらごめん。  明日の試合、頑張って下さい。  応援してます。>  私にあんな言葉を言わせたのは、自分に対する不甲斐なさと悔しさと、そして彼に対する嫉妬だ。  予報だと明日には、この雨はあがる。  雨を吸った競技場のトラックは、ぺたぺたと吸い付くような、いつもとちょっと違う感覚になるんだよね。私はそんな、今さら考えても意味のない事を想いながら送信ボタンを押した。
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