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役者を夢見て田舎から出てきた私は、小さな劇団で8年、芝居を続けてきた。
それだけで食べていけるはずもなく、副業の〝レンタル彼女〟で生計を立てている。
急な仕事も多く、バイトを転々とした末に行き着いた、短時間でそこそこ稼げる仕事だ。
料金は1時間1万円、それに交通費。行き先での費用もお客さんが持ってくれる。
しかし、そんな生活を続けてきた私も、30歳。
結婚を急かしてくる身寄りはいないものの、劇団や彼女業の仲間も、結婚や出産を機に引退する人が増えてきた今、私は大いに悩んでいた。
このまま役者を続けても良いものか。
いっそ、芝居も彼女業も辞めて、安定した仕事に就くべきか。
そんなことを考えながらも、変わらぬ日々を送っていた私の前に、1週間前、ひとりの少年が現れた。
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