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バスの中で一人席で座ると、コロナ対策で少し開いている窓の隙間に雨が滴り落ちる。
髪に水滴が落ち、濡れたくないという自分の葛藤があるものの雨音がやけに静かに見守っていた。
歩くのが嫌だなと傘を差しながら、歩くと雨音が私の頭の上で懐いてくる。
水たまりがないか足を確認して、歩く。
あっと足を踏み間違えると、ビシャと水が跳ね返り嬉しがっているようだった。
本人の気持ちをよそに、雨が降り響く強い雨音が私の知らない一面を教えたくてしょうがなくワガママだ。
しっとりとした雨音が落ちると、今までのことを思い返す。
そんな顔をしているのを見ていたのか、また雨音がリズミカルにはしゃいでいた。
泣きたく切ない気持ちを雨音が振り返って、楽しんでいた。
雨音がすると、蘇る私の記憶の一部。
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