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ある「一人」の人間の心を映した物語-
こんなの嫌だ。死んでもここには居たくない。死んだらここに木の棒で作った十字架を立ててやるんだ。それか茎が折れたチューリップでも植えてやろうか。
僕は何を言っているんだ。こんなの嫌だ。死んだらどこに行くのか。死んだらあそこに行くんだ。「カリーナ」へ。
カリーナは良い所だ。僕はそこに行きたかった。
僕は皆に騙された。裏切られた。僕らはカリーナを目指した。皆今はあそこに居るのか。皆は何で僕を見捨てたのか。それがわからないから今聞いているんじゃないか。
僕はスキーニを出た。カリーナへ行くために。カリーナは良い所だ。僕らはそう思って、スキーニを出た。スキーニは貧乏な街だ。皆下町に繰り出した。皆お金の事しか頭になかった。僕らは「一人」でスキーニの街で目立たないように暮らしていた。でも人には数があった。「優しい人」は消えた。僕らの心とやる気は消されて、カリーナへ行こうと思った。
いや、正式には意地悪な人が僕らをスキーニから追い出した。僕らはそう信じたかったんだと思う。でも何回も何回も「いじめ」を受けた。僕らは僕らを信じることができなかったんだ。僕らは僕を責めた。お前が生きようとするから悪いんだ。皆はそう言った。僕だけは生きようとした。僕はまだ僕らといたかった。僕らでいたかった。
僕は言った。「死ぬなよ。いじめられても死ぬなよ!」
でも僕らは、僕は馬鹿だった。僕は僕らの「死にたい」っていう気持ちを受け入れてしまった。
カリーナへ行きたい。早くカリーナへ行きたい。
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