アオザイの国

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「でも資格外活動だっけ? 留学生のアルバイトは週に二十八時間までだから、そんなに稼げないだろ。やれる業種も限られているし」  トゥンはカードをしまうと冷笑を浮かべた。 「そんなの守っていたら、ほとんどの留学生はやっていけないね。バレないように上手く掛け持ちすれば大丈夫」 「まあ、留学生は日本語の勉強より、バイトに明け暮れているって感じだもんな。前にも聞いたと思うけど、日本での生活費と別に、留学費用の返済が大変なんだろ?」 「そうなんだよー。それがきついね」  二人とも段々と飲むピッチが上がってきた。 「ボクは百五十万円だったね。日本ではたいしたことない金額だろうけど、ベトナムじゃ年収の三倍はあるね。だから、ほとんどみんな親がお金を借りて留学してるね。それに、授業料も半年ごとに五十万くらいかかるから、生活費は節約してお金を貯めないとだよ」 「時給千円にしても週に三万に届かないか」 「それだけでないよ。生活費や寮費もかかるよ。四人部屋でも月に五万円はかかるね。光熱費は含まれているけど、食事は自炊だからバイト掛け持ちでも少ししか残らないよ」
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