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「君が正直な男だということは金を持ち出してないことで良く判った。俺の片腕にならないか?大金持ちにしてあげよう。しかし弟の方の買い付けもまだ上手くいっていないのだ。どうだろう。三年待ってくれないか?必ず連絡する。正しこの事は誰にも言わないようにしてくれ」
夢のような話を聞き終えた高尾は
「勿論です。誰にも言いません。連絡をお待ちしています」
手を握り誓う。上山も頷き強く握り返してきた。
山道を通り麓に出る途中で樵に出会った高尾は上山に気付かれぬよう挨拶するフリをして地名と自分達が降りてきた山の名を聞いている。
男は今いる場所はホンミヤ(富山県中新川郡本宮か?)降りてきた山は鍬崎山と答えている。
駅に戻り再会を約して上山と別れた高尾は足尾銅山には帰らず、地元の静岡に戻り家業を手伝いながら上山からの連絡を待った。
約束の三年が過ぎ五年経っても上山からの連絡はなかった。
(騙された)思った高尾は地団駄踏んで悔しがったがどうすることも出来ない。
そんなある日、足尾銅山で一緒に働いていた男が高尾の家にひょっこり現れた。
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