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「約束だ。聞くな」にべもなく答えテントを広げ始める。慌てて高尾は手伝った。
テントを張り終え火を起こし、持って来た食糧で簡単な夕食を終えた二人は山の中とて何もやることがなく早々に床に着くことにした。
隣で眠る上山の横で高尾は疲れているにも関わらず中々寝付けなかった。
つい好奇心で付いて来てしまったが、よく考えてみたら自分はこの男を何も知らないのだ。もしかしたら何か犯罪に関わる様な事に協力させられるのかもしれない。
自分自身が被害者になるかも……不安な気持ちで悶々と夜を過ごしていた高尾は夜も大分更けた頃、隣の上山が起きる気配を感じた。
(トイレか)そう思ったがそれにしては様子がおかしい。
高尾が眠っているかどうか確かめるように此方をジッと見ている。
咄嗟に眠ったふりをした。暫く様子を見ていた上山だったが、やがて音を立てず静かにテントから外に出た。
少し待ちテントから出た高尾は上山の行方を追う。
幸い月夜の晩だったので遠くを歩く上山の姿はすぐ見つかった。
見付からないように距離を置き、付かず離れず付いていく。
やがて崖の端に大きな白樺の木がある場所に出た。
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