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上山は木の下にしゃがみこんで何かしていたがやがてその姿が不意に消えた。
(あの木の下に穴があるのだな、上山はそこに入ったに違いない)
鉱夫としての勘で高尾はそう判断し、一足先にテントに戻った。
暫くして戻って来た上山は再び寝袋に潜り込み寝始めた。
鼾が聞こえてきたのを合図に高尾は上山同様音を立てずにテントから抜け出し外に出た。
月明かりを頼りに上山の歩いた道を進む。
迷うことなく白樺の木のある崖に辿り着いた 高尾はしゃがみこみ地面を調べた。
そこは土くれではなく大きな岩で出来ていて、とてもではないが穴があるとは思えない。
(俺の勘違いか)そう思った高尾だが、よく見ると岩は岩だが随分と厚さがなく薄く感じられる。
試しに端を持ち押してみると驚いた事に大した力も使わずに岩が横にずれた。
(そうか、これは薄い一枚岩で蓋の役目をしているんだ)更にずらし続けると人一人が入れる位に隙間が開き空洞が見えた。
真っ暗だったので持参したマッチに火を付け中を見渡すと天然の洞窟に人が手を加えて作った石室の様に見える。
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