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中に潜り込み数メートル程進むと10畳程度の広場に出た。驚いた事にその広場一面に規則正しく素焼の瓶がズラリと並んでいたのだ。
(山の中に何故こんな物が)疑問の内に瓶の蓋を取り中を見た高尾は思わず叫んだ。
「あっ!」
何と中には夜目にも眩しく輝く黄金が瓶一杯に詰まっていたのだ。
試しに瓶を揺すってみたがびくともせず恐らく百貫目(約375㎏)位はあるのではないかと思われた。
一枚手に取り眺める。それは短冊みたいな形で表面に笹の葉の様な刻印が押されていた。
(大変な物を見てしまった)慌てた高尾は金を瓶に戻し蓋をして洞窟の外に出た。
岩を元通りにして大急ぎでテントに戻る。気付かれぬ様に静かにテントに入り寝袋にくるまったが、最初は興奮して眠れなかった。しかし疲れも出てうとうとし始めた時、不意に体を強く揺すられた。
「起きろ。今から出発する」
外を見ると未だ夜明け前の真っ暗闇である。言われるままテントを片付け支度をしたがその間上山は一言も口を聞かなかった。
帰りは行きと逆の方向に向かって歩く。
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