自覚は唐突に

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 そこには『結婚を考えられる人』と書かれていた。知らないうちにプロポーズしたみたいになっている。浜田が挙動不審に出てったのは、これが原因だ。付き合ってもいないのに、これはキモイと思われただろう。次に会った時、どういえばいいか頭を抱えると最後の言葉がよみがえった。 「待てよ、アイツ出て行く時、小指がどうとか……」  慌てて続きを読み進める。小指の欄を確認した俺は、頭を机に押し付けて身もだえた。  小指の結果は『恋人にしたい人』だった。 「いや、だって、今までそんな素振りなかったろ」   部員として一緒に活動していたが、特に親しいわけでもなかった。だが、これまでのことを思い返していると、なんだか浜田が妙にかわいく思える。 (薬指を選んだのは偶然だと思ってたけど、俺も無意識に浜田のこと――)  突然自覚させられた想いに、胸が高鳴り、顔に熱が集まるのだった。
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