自覚は唐突に

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「ねぇ、森。この指の中から好きな指を一本選んで」  突然の脈絡のない言葉と共に、浜田の右手が目の前に生えてきた。読書を中断させられ、じろりと睨む。 「邪魔。どけろよ」  ちょうど犯人を追い詰めている良いシーンだったので、俺の声がとがる。 「そんな怒んなくても、いいじゃん。選んでくれたらすぐ済むんだからさ」  俺の苛立ちには気づいているだろうが、どこ吹く風で「早く選んでよ」と手を振り、急かしてくる。キレイに整えられた爪が目の前で揺れた。
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