自分を信じて

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 体育祭は終わり、簡単なホームルームの後、僕はいつものようにまっすぐ家へと向かった。みんなは打ち上げの話で盛り上がっていて、僕も誘われたけど丁重に断った。とても疲れていた。  帰りながら、今日の対抗リレーの事を思い出した。もっと早く走るにはどうしたらいいのだろう。練習するしかないのだろうけど、この義足では限界があるのかもしれない。  でも、何だか清々しかった。負けたのは悔しかったが、その悔しいという感情が自分の中に存在していたことが嬉しかった。僕が初めて表に出した感情だった。  誰もいない家の鍵を開けて、僕は部屋に入った。靴を脱いで家に入り、台所を見ると、普段より少し片づけられていることに気づいた。  そしてテーブルにはフードカバーで守られたカレーとサラダ、そして1枚のメモ書きが目に入った。僕はフードカバーを取り、メモを手に取った。 『今日はお疲れさま。結果は残念だったけど、かっこよかったよ。お母さんも頑張るから、くじけずにね。母より』  メッセージは以上だった。たった30文字のメモ書きで、母のぶっきら棒な文字が不規則に並んでいた。  メモ書きを読み終えて、僕は母の作ってくれたカレーを食べた。母の手料理なんて、いつ以来だろう。カレーは思いのほか辛かった。じゃがいもや人参は大きく、形は歪だった。  でも、旨かった。  この世のどんな料理よりも。
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