さようなら

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 完全に意識が戻った時には、両手両足にたくさんのチューブがくっついていて、身動きが取れなかった。大事な部分にまで管が入っているのには、正直驚いた。  病状が安定すると、集中治療室から一般病棟へと移された。4人部屋に入ったが、周りは高齢の方ばかりで、いささか萎縮した。  そして改めて気づいた。右足が無くなってることに。  正確には『右下腿を切断した』というらしい。膝から下、そこが下腿。膝関節は残ったものの、僕は片足になった。  でも不思議だった。感覚的には右足がまだあるような感じがする。  しかし見てみると、間違いなく右下腿はない。包帯をぐるぐる巻きにされた、いかにも繭に包まれた巨大な蚕のような物体がそこにあった。  僕はしばらく車椅子の生活を強いられた。だけど両手と左足は不自由なく使えるので、生活には困らなかった。  病院のトイレは車椅子でも十分に入れる広さを有していたので、僕の生活上、看護師さんに手を借りることはほとんどなかった。
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