自分を信じて

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 次の日は休みだった。体育祭の振り替え休日だ。僕はいつも通り起床し、台所へと向かった。 「おはよう」  母は今から出勤するところだった。 「昨日のカレー、ありがとう。見に来てたんだ」  僕は母の背中に声を掛けた。 「あんたがあんなに一生懸命になってるところ、初めて見た。なんか感動したわ」  母は笑顔でそう言った。 「じゃ、行ってきます」 「うん」  そう言って、母はいつものように仕事へと出掛けて行った。こうやって母とまともに話すのは、久しぶりだった。  顔を洗って、トイレを済ませ、僕は食パンを焼いた。それをかじりながら、テレビでニュースを眺めた。  簡単な朝食を済ませると、たまった食器を洗った。散らかり放題の服をかき集め、洗濯機に放り込んだ。溜まりに溜まったゴミを収集所に出し、何年か振りに掃除機をかけた。  変わろうとしている。  僕も、母も、この家も。  甘えてたんだと思う。全てを世間の荒波のせいにして、自分では1つも変わろうとせずに。  変わらなきゃ。変わるためには、自分から動かなかなきゃ。アクションを起こさなきゃ。そうすれば、何かしらの反応が起こって、何かが具体的に変わるはずだ。  そして世間はそんなに悪いものじゃないのかもしれない。どこかで僕たちを見守ってる人って、意外といるのかもしれない。それに気づけていなかっただけだと思う。今までは。  人は変われる。生活も変えられる。自分の在り方次第で。  僕は洗濯物を干すために、外に出た。  今日も昨日のような秋晴れだ。洗濯物はからりと乾くだろう。眩しい日差しを全身に浴びながら、僕は洗濯物を1つずつ干した。  自分の左足と右の義足で、しっかりと地面を踏みしめながら。
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