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「次は、どこに行ったらいいのでしょうか」
右手にランチャームを持った美穂さんが上目遣いで問いかけてくる。
借り物をゲットしたら即、ゴールに向かうものと思っていた俺は少々戸惑った。
「もしかして、一緒に探してくれるの?」
「当たり前ですっ!」
キラキラした瞳で真っ直ぐに見つめられ、照れくさくなって思わず目を逸らせてしまった。
なんて良い娘なんだ。
それから俺と美穂さんは商店街のお店を覘いては、グレイビーボートを知っている人を探した。
普段、郊外に出来た大型ショッピングモールに買い物に行っていた俺は、この小さな商店街を歩くことなんてなかった。
訪れる店はどこも古くて、狭くて、ダサかった。
正直、女の子と一緒に行くのは躊躇われるような店だったけど、そこにいる店員さんはみんな親しみやすくて、優しくて、家族のように接してくれた。
結局、商店街の奥の方の洋食屋でグレイビーボートを借りることができ、俺と美穂さんの短いデートは終わった。
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