甘い汗

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(ホットココアでも買って帰ろうかな)  年配のおばちゃん向けの洋服屋に創業何十年の小さな和菓子屋、学童向けの文房具と体操着に、何故か布団まで取り扱う品揃えが謎の店が軒を連ねる古い商店街は水曜日ということもあって、いつも以上に閑散としていた。時計店のシャッターに書かれている電話番号は驚きの六桁。一体いつの時代だろう。この町は時間が止まっている。こんなんだから若者も居なくなるんじゃないの。  アーケードを抜け国道に出て十分ほど歩くと、コンビニの明かりが見えてくる。この辺りでは数少ない夜八時以降も開いている店の一つだ。田舎らしく駐車場だけは立派に広いそこは、私のような独り者には塩梅の良い店で、決して混雑している訳ではないけれど、人の気配が感じられ安心できる場所だった。
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