甘い汗

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 ティロリローン。  迎えてくれたのは店員ではなく、自動ドアの入店音だ。流れるようにレジに視線を向けるがそこに店員の姿はない。田舎のコンビニあるあるだ。手袋を外し、入り口のアルコールで消毒をして雑誌コーナーへ向かった。  エコバッグだの、ポーチだの様々な付録のついた分厚い雑誌を棚から持ち上げては、表紙の文字だけ確認して棚に戻す。この付録の所為か、ただ単に立ち読み防止なのかは分からないけれど、最近の雑誌はテープやゴムバンドでがっちりと封印されていて、記事を確認することはできなくなっている。付録と表紙のインパクトだけで、購入するかしないかを決めなければならないのだ。  雑誌コーナーを抜けドリンクの並ぶ冷蔵庫の前までくると、隣の通路から男女の声が聞こえてきた。
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