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 椅子に腰掛けパソコンの電源を入れると、「お! 結花ちゃん、心配したぞ」としゃがれた声を掛けられた。 「ああ、小出さん、もうすっかり大丈夫です」 「そっかぁ。今度はクリームじゃなくて滋養の付くドリンクの方が良いか」 (滋養の付くドリンク?! まさか手作りとか言わないよね。勘弁して)  親切というよりお節介――いやむしろ気持ち悪さの押し売りだ。そっと視線を逸らせば、小出さんは満足げに私の肩をどんどんと叩き、工場の方へ戻っていく。 (ああ。肩もアルコール消毒したい)  アルコールジェルに手を伸ばすと、また専務が声を掛けてきた。 「結花ちゃん聞いた? あ、寝込んでたんだから知らないか」  相変わらずひび割れたままの指先にジェルを擦り込みながら「何の話ですか?」と首を傾げる。
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