破れた恋の行き先は

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破れた恋の行き先は

 ちょっと待ってくれ。  どういうことだ。  何やってるんだ。  今すぐ離れろ。  ふざけんな。  後なんだよ、もうクソ!  とにかく色々な言葉が頭の中を駆け巡ったけれど、一つもまともな言葉が出てこなかった。 「嘘………」  そう、これしか言えなかった。 「あれぇ、アズベイル!早かったね」  全く慌てることなく平然と笑っている顔に腹が立って怒りが込み上げてきたが、話を聞かなければと強く手を握りこんでなんとか耐えた。 「ねぇ…、アズベイルも一緒にする?」 「ばっ…!すっ…するワケない!!」  残念と言いながら、シーツの中から起き上がって白くて細い体を俺に晒したのは、俺の恋人であるはずのリズベルトだ。  ふわふわとした金髪は触ると柔らかくて気持ちがいい。それなのに、今日は汗でしっとりと濡れている。それが何故かは一目瞭然だ。 「あーあ、醒めちゃった。あー、ボクしばらく帰らないから、よろしくぅ」  脱ぐ時も早いが着る時も早い男リズベルト。慣れた手付きでシャツとズボンを身につけて、じゃあねと出て行ってしまった。  俺はその様子を信じられないと思いながら、唖然として見つめたまま動けなかった。  リズベルトが出ていった事実を噛みしめていたら、もっと衝撃の事実に気がついてしまった。  リズベルトが抜け出したベッドにはこんもりとシーツの大きな塊ができている。  それがもそもそと動いてやがて滑り落ちて中から人が現れた。 「誰だお前は?いいところを邪魔しやがって」  こんなことありえない!こういう時、出ていくのは俺のはずだ。それを恋人が追いかけてくるとか、そういうものじゃないのか!?  まさか、恋人がさっさと出て行ってしまい、俺の恋人がたった今までベッドで交わっていた相手。つまり浮気相手と部屋に残されたということになる。  その事実が理解できなくて、パニック寸前になっていた。 「………お前こそ誰だ!人の恋人を寝取ろうなんて……この悪魔!!」 「……何だお前、リズベルトと付き合ってるのか?」 「そ…そうだよ!それに…ここは俺の家だ!リズベルトとここで同棲しているんだ!」  怒りのボルテージが上がって、鼻息を荒くしながら今にも飛びかかろうと歯を剥き出しにしたところで、ベッドの中にいた男は立ち上がった。  裸の上半身に下はまだズボンを履いていた。
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